砧書体制作所

Kinuta Font Factory

(旧 カタオカデザインワークス)


   
                • 線と線が接していたり離れていたり
                • ハネがはねたり止まったり
                • 同じ偏や旁でも異なる特徴をもった字があります
      •  

 


山本さんの字をフォントにしませんか。から…6年

山本さんは、私が18年在籍した広告代理店・株式会社スタンダード通信社の上司でした。いつも味のある絵とか字を描いていた人で見るたびにこの味はどこからくるのだろうと思っていました。
私が書体設計をするようになっていろいろあたった資料で気づいたことは、この種の描き文字が少ないことでした。味のある字というものは描く人の性格とどれだけの量を描いたかによって差がでます。こんな味のある字を描く人がいたことの証として後世に残してもいいのでは。それが声をかけたきっかけです。
山本さんはレタリングという言葉がない時代に描き文字を経験した人でした。小・中学、高校時代、お父さんの仕事だった映画の看板描きを手伝ったことが影響したのだと対談のなかでわかりました。
お父さんは、姫路の封切館の看板をすべて仕切るほどの腕前だったそうです。片岡朗


描いて見つめて

 
一文字一文字の意味を取り上げて、ひとつの形にするんだからちょっとやそっとじゃ解釈しきれない。
一方ではさっさと進めなきゃと思いつつ、一方では嫌になっちゃったりで。
描いたことによって文字に新しい何かを見いだす一方で、それまで好きだった文字が描きあげたときの印象で嫌いになったりする。
そういう意味では、漢字は単なる記号じゃなくてひとつの情的な何かを表現しているんじゃないかなって子供の頃から思っていたよ。
縦棒一本描くだけで変化に富む。そこにハネ、点、ハライが加わって…それを筆でするするっと一息で描くんだからそう簡単にはいかないね。


仮名っていうのは描きにくいね。
ひらがな、カタカナ両方とも難しい。
組んだ時と一文字の時と表情が違うからね。
例えば『あ』と『い』をそれぞれ
同じ四角の枠に入れないといけないし、
しかも同じ大きさに見えなきゃいけない。
それが『あいうえお』ってまとまった時、
これがまた違って見えるんだよ。
ましてや漢字とひらがなが混ざったりなんか
しようもんならなおさらね。


山本三知也

制作話