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写真は、復刻 初版本 夏目漱石文学選集「吾輩ハ猫デアル 上編」著者/夏目漱石 一九七九年七月十五日 第一刷発行  発行/日本リーダースダイジェスト社。原本は、明治三十八年十月六日発行 著作者/夏目金之助 発行所/大倉書店・服部書店 印刷所/株式會社秀英社 定価九十五銭

吾輩ハ猫デアル

私の、ルーツ。

 昔、1990年前後、神田の古本市で夏目漱石の「吾輩ハ猫デアル」の初版本の覆刻版と出会いました。 じつは、ここに使われている活字の仮名は「丸明オールド」の仮名のルーツ、築地体や秀英体なのです。 活字がメッセージの道具として大きな役割を担っていた時代です。 まだ活字の歴史が浅かったせいでしょうか、とくにかなには毛筆の運びを強く感じました。このことが新鮮に映りました。 印字面の四角いスペースにとらわれない形がのびのびとした流れに、そして伝統ある毛筆形は飽きのこない安心感となっています。 反面、文章に組まれたときには漢字とかなの字間がばらついて見えます。

 しかしそのことで読みにくいといった印象はありませんでした。むしろ読みはじめると見た目よりも抵抗なく読めました。 この雰囲気の書体がどうしてないのだろう。これがつくるきっかけとなりました。ただそのままを再現するのではつくる側としては抵抗がありました。 いまの時代の香りといったものがほしいと考えてしまったんです。結果は、コンピュータだから簡単に処理できる「丸」というエレメントになったわけです。